SHINJI HOSONO PHOTOGRAPH

Vol.1 前田慎二さん 3

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まだまだ続きます!
秋の夜長に、お楽しみ下さい。

藤江:細野さんはミュージシャンを撮る時と、アイドルを撮る時の違いってありますか。


細野:撮影スタイルは一緒ですよ。ただハード的な部分は随分変わってくる。 音楽誌やCDジャケットとかってグラフィックな要素も強いし。あとミュージシャンって撮影に対して不器用な人もいる。 ジャニーズの子みたいにバンバン動けるわけじゃない。 だからうまく動いてもらう環境を考えたり、表情や動きを見逃さないようにする、とか。


藤江:女優として成功する子でも、最初グラビアの撮影でまったく動けない子もいますからね。その辺はミュージシャンの撮影体験が、グラビアの写真にも活きていると思います。

僕が、細野さんと仕事をするようになる前のことですが、広末涼子ちゃんの写真集「No Make」を作っていた頃のことです。これは彼女の高2の一年間を追っかけるドキュメンタリーで、 例えば映画「鉄道員」や「ビーチボーイ」の撮影現場とか、レコーディングしているところとかで、少し時間もらって撮ったりしていたんです。
       
そこで、彼女1stアルバムのPVの収録現場に同行した時に、 ジャケットの撮影で細野さんが入っていた。 PVの撮影が「カット!」となると、僕らが「涼子ちゃん、こっち来て!」と呼んで、その場で撮影するんです。細野さんも僕らも同じ立場でした。その時の細野さんのプロとしての仕事振りを見て打ちのめされましたね。

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前田:その辺もう少し具体的にお願いします。


藤江:僕らはその時に「ヤングジャンプ」本誌の表紙も 撮らなきゃいけなかったんです。なのでPV撮影の現場の近くをロケハンして、蔦の絡まっている壁見つけた。 僕とカメラマンは「よし!ここだ」と思ったんです。いつものように「涼ちゃん、こっち来て」と呼んで撮影したんですが、写真の出来はかなり残念なものでした。

ところが細野さんの撮影を見ていると、その辺の三叉路にある道路反射鏡に映っているところ撮ったり、ビニール傘持たせたりして、さりげなく撮っている。それがまた絵になっているんですね。もう「ヤングジャンプ」のカメラマンと 今回は「完敗だ!」とくやしがったのを覚えています。

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前田:アーティストが動けないとか、時間が限られている時とか、撮影現場の環境がよくないときでも、細野さんは被写体のポテンシャルをうまく引きだしますね。

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