SHINJI HOSONO PHOTOGRAPH

Vol.2 藤江健司さん 2

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前回同様、盛り上がってます!

細野:藤江さんにとってはどういう先生だった?


藤江:その頃の清貴さんに言われたことで憶えているのが 「ヤングジャンプ」は笑顔でいく という言葉です。「ヤングマガジン」の野村(誠一)さんの写真には笑顔がない。あってもメインではない。だから俺たちは笑顔の写真をウリにしていくということなんですね。


前田:陰と陽ということですね。

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藤江:アイドルの世界では山口百恵と桜田淳子、中森明菜と松田聖子みたいに時代を代表する陰と陽の対比ってあるじゃないですか。

同じ海辺で撮影しても、「ヤングマガジン」では、夕景寂しげな雰囲気の岩陰でこれからキス...?でドキドキみたいなイメージだとしたら、「ヤングジャンプ」では、朝の青い空に青い海。青、青、青で向こうから笑顔の女の子が走ってくる、というイメージですね。


前田:齋藤さんは「ヤングジャンプ」ならではのグラビアを作ろうとしたのですね。


藤江:また清貴さんに、具体的な指示で言われたのは「明星のバックナンバーを全部見ろ」ということでした。だから時間のある時に、明星編集部に入り込んでバックナンバーを読んだのですが、そこで分かったのは「明星」って年間通してのダイアリーだから、ライフ・イベント的なテーマが多いんです。新学期始まりました、とか。東京に上京して初めて原宿に行きました、とか。


細野:そういうところで素顔を撮るっていうことなんだよね。

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藤江:そうなんですよ。でその中で、「明星」もジャニーズもすごいなって驚いたのが、毎年ジャニーズの若手が、富士山に登ってご来光バックに写真を撮っている。毎年、通過儀礼のように必ずやっているんです。これってある意味ドキュメンタリーですよね。


前田:ドキュメンタリーです、それは(笑)。


細野:「明星」と言われて思い出したことがある。僕が齋藤さんのアシスタントだった時代は撮影で長玉(望遠レンズ)を使うのがカメラマンの間で流行っていた。

代々木公園とかで齋藤さんが長玉で撮影していると、他の雑誌のグラビア撮影で小沢忠恭さんや渡辺達生さんとか当時の有名カメラマンとかち合うことが多かった。そして、お互い長玉を見てメラメラって炎燃やして闘争心を掻き立てていたような雰囲気を感じました。

ところがそんな時代でも「明星」の撮影って長玉は使わないんです。それは後に、僕が独立してから「明星」の撮影現場に立ち会うことになって気づくんですけどね。

(続きます)