Vol.2 藤江健司さん 5
細野:僕は、グラビアの世界で撮影する時は、こう考えているんです。女の子が行きたいところ、体験したい場所に行く。そこに彼女のことが好きな男の子がカメラ持ってついて行ったとしたら、そこで彼女の様子やいい表情をさりげなく撮る。
藤江さんが僕によく言う「横顔の写真っていいですよね」っていうのはまさにそれじゃない。僕のそういうスタイルってアーティストの撮影と同じことなんですよ。
藤江:実は細野さんと仕事する前の撮影で、すごく自然に撮れたことがあって。(広末)涼子ちゃんは中学生の頃、彼女は陸上部だったんで、撮影で陸上競技をやってもらったことがあった。彼女の真剣な表情や汗がもうキラキラとしているところが撮れていた。
上がった写真を見ていると、グランドで彼女の練習を見かけて好きになってしまう男の子の気持ちにこちらも自然となってしまいましたね。
その時は、陸上競技というテーマがうまく彼女の自然な表情をひきだしたんだけど、えてして僕ら編集者はどこかストーリーにはめ込もうとするところがある。細野さんは、女の子にこっちの想定する世界に合わせてもらうんじゃなくて、女の子の動きに合わせていく。
男の子が女の子を好きになる瞬間を自然に撮りたいという目指す場所は一緒なんですけど、細野さんのそのアプローチの仕方が新鮮だった。
前田:音楽の撮影ってアーティストの動く方向に合わせて撮っていくというのは、よくわかります。ただ音楽誌の編集者でも、藤江さんの言うように自分のストーリーの方へ持っていこうとするっていうのはよくありますね。
(続きます!)