SHINJI HOSONO PHOTOGRAPH

STAR SHOT Talk Vol.1 前田慎二さん 1

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細野晋司がゲストを迎えて、
過去・現在・未来について語り合う
『STAR SHOT Talk』


記念すべき第1回のゲストは、前田慎二さん。
司会進行は、藤江健司さんです。

今日から5回に分けて、お送りします!

前田慎二(まえだしんじ)
フリー編集者。1961年生まれ。1986年CBS・ソニーグループ入社。1989年よりソニー・マガジンズに異動。「ワッツイン」「GiRLPOP」編集部に配属される。「GiRLPOP」「GB」「リンカラン」編集長を歴任。20年にわたり数多くのミュージシャンの取材を担当する。2009年退社後フリーランスとして活動。
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藤江健司(ふじえけんじ)
「グランドジャンプ」編集長。1968年生まれ。1991年集英社入社、「ヤングジャンプ」編集部に配属される。1993年より同誌でグラビアページが始まると、担当編集者となり、青年誌グラビアのパイオニアとして活躍。2013年より現職、編集長のかたわら、「グランドジャンプ」細野の連載ページを担当している。
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藤江:細野さんが音楽業界で仕事するようになったきっかけは、 前田さんとの出会いだったということですが。 


前田:僕は新卒でソニー・ミュージック名古屋営業所の営業をやっていて、89年の3月に人事異動でソニー・マガジンズ(現エムオンエンターテインメント)の 「ワッツイン」の編集部に転勤になりました。

創刊して間もない雑誌で、最初の一年は文字情報の整理とか、他の編集者の手伝いみたいな感じで。 1年くらいたった頃、初めてアーティスト・ページの取材を任されて、2号連続のB'zのソロ・インタビューを企画したんです。 そこで松本孝弘さんの撮影をお願いしたのが細野さんだったんです。


細野:フリーになったばかりの頃で「ワッツイン」で仕事したこともなかったし、編集で面識ある人もいなかったから、「なぜ僕なんだろう」と思いました。


藤江:前田さん、どこかで細野さんの写真見ていたんですか。


前田:いやまったく見ていない(笑)。 ただ、駆け出し編集者だったんで、アーティスト・ページを担当するようになったら、これから一緒にやっていけるような新人カメラマンを起用したいなと思っていました。
   
社内の優秀なフリーの編集者にそれを相談したら、即答で「齋藤清貴さんのアシスタントだった細野さんがいいよ」とアドバイスしてくれた。彼女が言うのなら「じゃあ、それで、決まり」でしたね。

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藤江:で、上がってきた細野さんの写真見てどうでした?


前田:いや写真ってすごいものだな、って感心しました。すごく伝わってくるし。僕が写真とか撮影に関心をもつようになったのは、実はそこからなんです。レコード会社の担当者からの反応も良かった、というか普通じゃなかった。たぶん本人周りがすごく気に入ったんじゃないかと推測しています。

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藤江:B'zって男っぽいイメージのバンドですよね。


前田:実はそうじゃなかったんです。当時は、TMネットワークのフォロワー的な中性的なイメージのグループだと見られていた。後から考えれば、たぶん本人たちもそのイメージを払拭したいという思いもあったんでしょうね。
   
そこを細野さんがバーンと男っぽくかっこよく撮ることで、彼らの本質的なところを先取りして写真にしたんだと思います。そこから彼らがハードロック的になったり、男臭くなっていくわけですから。細野さんの写真って、その時点のミュージシャンのイメージにとらわれず、その後歩んでゆく道というか未来を示唆することが多いんです。
   
「GiRLPOP」のKEIKOや谷村有美の写真にはそれを特に感じました。谷村の写真は、ZARDの写真に繋がって、90年代中盤の女性アーティストの写真全体に影響を与えた感じはありますね。
   
(つづく)

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